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2023.03.10
3/10 代表質問(地方税法等改正案)
- 本日、参議院本会議において、与党を代表し、令和5年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、以下、松本総務大臣に質問しました。松本総務大臣からは、いずれの項目に関しても、前向きな答弁を頂きました。
【質問項目】
①地方財政対策
②自動車税・軽自動車税の環境性能割
③車体課税のあり方の検討
④法人事業税の外形標準課税
【地方税法等の一部を改正する等の法律案 代表質問 原稿】
自由民主党の佐藤啓です。
自民、公明を代表し、ただいま議題となりました令和5年度地方財政計画、地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について松本総務大臣に質問いたします。
1.令和5年度地方財政対策について
(地方財政計画・地方交付税法等一部改正案関係)
まず、令和5年度地方財政計画及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についてお尋ね致します。
地方財政計画は、地方交付税法第7条の規定に基づき作成される地方全体の歳入歳出総額の見込額に関する書類であり、毎年国会に提出をされます。その規模は、令和5年度において、約92兆円となっています。
この計画を策定する一番の目的は、我が国にある1,700超える地方自治体が、質の高い行政サービスを等しく提供できるよう十分な財源を確保することです。このことを通じて、国民・住民の皆様に、全国津々浦々、どの地域でも、ゆりかごから墓場まで、必要な行政サービスを受けられるという安心感を持っていただけるような環境を作っていくことが必要です。
また、地方自治体は、それぞれに地理的・文化的特性があり、多様です。その個性を生かしたまちづくりを進めていくための財源の確保が必要です。加えて、時々の社会経済情勢を踏まえた取り組みに対する財源の確保も重要です。
この地方財政計画が、単なる数字の羅列ではなく、血の通った計画となるためには、地域の実情をよく知る地方自治体からの要望や意見を十分にくみ取った上で、それらを適切に反映した内容にしていく必要があります。
目下、少子高齢化・人口減少が加速化し、また、燃料価格・物価高騰による国民生活への影響が懸念されています。令和5年度に向けては、地方から、まず第一に、地方が自由に使える一般財源総額の確保、とりわけ、地方交付税総額の確保と臨時財政対策債の発行抑制について、強い要望がなされていたものと承知しています。
加えて、現下の重要課題である地方自治体のデジタル化の取り組みへの支援を充実・強化することや、住民の皆様への安定的な行政サービスの提供が欠かせない公立の学校施設や社会福祉施設における光熱費高騰に係る支援を行うことなどを求める声が寄せられていたと認識しております。
そこで、令和5年度の地方財政計画の策定にあたって、地方からの声をどのようにくみ取り、計画に生かしてきたのか。また、地方からの声を十分に反映した内容となっているのか大臣の御所見を伺います。
2.環境性能割の税率区分引上げについて
(地方税法等一部改正案関係)
次に、地方税法等の一部を改正する法律案について伺います。
今回の地方税法改正では、2年ぶりに車体課税の改正が行われています。その大きな論点として、自動車税・軽自動車税の環境性能割について、税率区分引上げの議論がありました。
環境性能割は、自動車の取得時に課される税で、燃費性能等に応じて税率が変わります。自動車の燃費性能は、メーカーの努力により年々向上していきますが、それぞれの税率を適用するための燃費基準を2年ごとに引き上げることで、環境性能のより良い自動車が普及するよう、後押しする仕組みとなっています。このような制度のメンテナンスは、自動車税の税収を維持することにもつながるため、当然、地方公共団体にとっても重要な意味を持ちます。
他方で、自動車ユーザーにとっては、燃費要件が厳しくなれば、同じ自動車でも適用される税率が上がることになるため、負担の増加となります。また、自動車業界では、世界的な半導体不足を原因としてモデルチェンジや生産計画に大きな影響を及ぼし、また、納車が予定よりも大幅に遅れているなど、引き続きコロナ禍の影響を受けています。そのため、今回の地方税法改正の議論においても、1年間は燃費要件を据え置き、その後も大幅な引上げはしないよう、業界からは強い要請があったところです。
こうした背景から、昨年の与党の議論では、環境性能割の税率区分を引き上げて、地方の貴重な財源を確保しつつ、コロナ禍に苦しむ自動車業界にも配慮すべきとの立場から議論が交わされましたが、どのような考え方により今回の法改正を行っているのか、大臣に伺います。
3.車体課税のあり方の検討について
(地方税法等一部改正案関係)
次に中長期的な車体課税のあり方について伺います。車体課税は、そのあり方について以前から議論が提起されてきた税です。最近の与党税制改正大綱においても、車体課税の見直しが「検討事項」とされ、中長期的な視点に立って検討すべきものとされています。
我が国の自動車産業は、欧州をはじめとする急速な電動化の動きや自動運転技術の開発、シェアリングサービスの普及に伴う「保有から利用へ」の移行といった世界的な動きを見極めながら、諸外国のメーカーと競争していかねばなりません。そのような中で、適切な税制を見出していくためには、議論すべき論点が数多くあると思われます。
しかし、毎年の税制改正プロセスは、年末の一時期に限定されています。利害の構造がある程度明らかなものについて、主張をぶつけ合った上で結論を出す、といった場合には適している一方、これのみでは、論点が多岐にわたるものについて、その論点をひとつ一つ丁寧に整理しながら、十分に議論・検討するのは難しいのではないか、と感じています。
自動車業界が、100年に一度ともいわれる大きな変革期に直面している中、車体課税のあり方について検討し、公平・中立で、かつ、自動車業界の活力を維持・強化できるような税制を実現するためには、静かな環境で、議論を進めて行く場が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、大臣の見解を伺います。
4.外形標準課税について
(地方税法等一部改正案関係)
最後に、法人事業税の外形標準課税について伺います。外形標準課税は、資本金1億円を超える大企業を対象とし、平成16年度の導入以来、地方の安定的な財源となってきました。また、平成27年度、28年度には、外形標準課税の割合が拡大されました。一方で、近年では、外形標準課税から逃れるために、意図的に資本金を1億円以下に減資する法人があったり、持株会社化・分社化の際に外形標準課税の対象範囲が実質的に縮小する事例も生じており、これらについては、制度的な見直しを検討する必要があります。
資本金を1億円以下に減らす大企業が毎年、一定程度、あることはやむをえないと考えます。特に、損失を埋めるための減資はあってしかるべきです。しかしながら、減資して、税法上の中小企業となることで外形標準課税の対象から外れるのがその目的であれば、好ましくないと考えます。有名大企業が節税対策の一つとして資本金を1億円以下にして負担を免れているという報道も出ております。減資すること自体は合法ですが、減資をせずに、苦しくとも頑張って税を納めている企業もある中で、公平性を欠くといった指摘もあります。
一方、本来の中小・小規模事業者には十分な配慮をしなければなりません。こういった企業の大半は、経営状況が苦しい中でも、地元で従業員を雇用し、地域社会のために大きな貢献をしています。制度見直しの影響が生じないよう、工夫するべきであると考えます。
そこで、改めて、外形標準課税の制度導入の趣旨と、今後どのような方針で取り組んでいくのか、大臣にお伺いして私の質問を終わります。有り難うございました。